忍者ブログ
ことばは矢のように、あなたのこころに突き刺さる。 あやふやで不安になることばも その傷が癒えることばも。
[529]  [528]  [527]  [526]  [525]  [524]  [523]  [522]  [521]  [520]  [519
どうも最近納得いかない講義がある。

実際の処方を元に、このケース(患者さん)に
なぜこの処方が出ているか、何のための処方か
そしてこの先こういう訴えがあったらどう処方が変わるか?
みたいなことを解説していく講義なのだが

臨床診断学も学んでいない私たちに
処方医でもない別の人が
処方の解説するのに何の意味があるんだろう・・・

この間の講義も

ケース1
60歳、F
半年前にhusを亡くした頃から
不眠、抑うつが出現。
中途覚醒、浅眠、早朝覚醒あり
熟睡感がない(当たり前)

さーて、一番最初に出た処方は
1)スルピリド 50 3T 3×nde
2)トリアゾラム 0.125 1T 1×vds


すごい、中途半端・・・・

そして、先生の説明もかなり疑問。

「こういう場合、うつ病のなりかけってことが多いです!」
「夫の死をきっかけにうつ病を発症する」

ん な わ け ないだろう!!

夫の死をきっかけにうつ状態になることはあるだろうけど
うつ状態が悪化してうつ病になることは、絶対にありえないのだ。
もしそうだとしたら、それはうつ状態じゃなくてうつ病だったんです。

勘違いしている人がものすごく多いけれど
抑うつ(状態)とうつ病は、まったく別のことです。
抑うつ状態が続いていてうつ病になることは
絶対にないのです。
それはなぜかと言うと、状態像であるうつ状態と
うつ病は別のことであり
状態像とは、たとえば風邪の時に「熱が出た」と
同じ状態を指すのです。

だから、熱が出ていた(発熱状態)が長く続いて
熱病になることはないでしょう?
それと同じです。
もし、発熱が続いていて、しばらくしてそれが
熱病、たとえば黄熱病になった、なんてことは
ないのです。もしそれが黄熱病だったとしたら
もともと黄熱病の発熱だったのです。

これと全く同じことが「抑うつ状態」「うつ病」
に言えます。
うつ病のなり始めが抑うつ状態じゃなくて
もし、うつ病の診断が下されたのなら
その人は最初からうつ病だったんです。

そのあたりが日本人で勘違いしている人が
とても多いのです。しかも医療関係者に。

しかも
処方医でもないのに1)はうつ病の治療のため、って
そんな低用量(50~150ミリまでは胃潰瘍の適応量です)
で「うつの治療を目的」なんて勝手に解釈していいのか!?

そして、この最初の処方でも不眠が改善せず
「根本のうつを治療しなくてはならない!」という医師の判断
(というような、たぶん予想)で
さらに3)ミアンセリンを 追加処方した、という説明だったのですが

やみくもに処方薬増やしてどーする!?

1)はうつ治療目的で出したんじゃないの!?

だったらミアンセリン追加する前にスルピリド増量しろよ!
(うつ病治療は150~600ミリで効果を発揮)


と、思った次第です・・・

でも、処方医はスルピリドに手をつけていないところをみると
たぶん、もともとこのケースは食欲不振を訴えていたんじゃ
ないでしょうかね。
食欲不振と不眠。
だからこそ、スルピリド150ミリ処方した。
だからこそ、スルピリドはうつ病(抑うつ状態)
の適応量まで増やさず、抗うつ薬をアドオンした。

こう考えた方が自然な気がするのですが・・・

講義をしている先生はたぶん
独自の読みで勝手に処方箋を解釈してるのでは・・・

だいだい、診察に一緒に入って
診断してるわけでもないのに
何のためにこの薬が出てるかなんて
精神科では薬剤師が予測なんかできないっつうの。

それは、薬から患者を予測するだけで
実際の患者を見ようともしない
これって何か意味あるんだろうか?という気がして
はあ・・・となってしまうんですよね。


拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
木蓮
性別:
非公開
自己紹介:
山へ行けばわかるよ
カウンター
最新コメント
[05/07 pochi]
[05/01 moto]
[05/01 moto]
[05/01 バード]
[04/29 pepipo]
忍者ブログ [PR]