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ことばは矢のように、あなたのこころに突き刺さる。 あやふやで不安になることばも その傷が癒えることばも。
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夏休みも今月で終わり。
本当は来月一杯夏休みなんだけど
試験でついに大好きな有機化学を落としてしまい
9月から補習と再試験なのでもはやのんべんだらり 時々おしごとな
私の夏休みはもうおしまい。なんです。

以前ここで
医療費のことを書きましたが
私の中であれから結構時間をかけて考える課題になっています
あの「SICKO」というドキュメンタリーを観てから私の中で
アメリカ医療の問題点と、日本の問題点が
自分なりにもやもやしたものを粘土を盛り固めるように
ぼてぼてとまとめていたものが
いくらかシャープに形づいてきたような気がします

いろんな人にも意見を聞いてみました。
保険医協会の理事の医師の方や
うちの院長先生
アメリカで実際に医療を受けた人(これはビタ先生なんだけど)
日本のとある医療ユーザー。
医療ユーザーといったら自分もそうなんだけどね。

ビタ先生は、アメリカでもトップクラスの医療保障を受けられる
アメリカの25%の富裕層に含まれていた人だったので
貧富の差が大きいアメリカの、「富裕層」の現実は知っていても
貧困層のことなど殆ど気にしていないというかほぼ眼中になかった。

「アメリカで医療保障に入ってない人なんていない。日本と同じで皆保険」

なんてことを言っていた。
そりゃそうだよね。
富裕層に含まれている人たちは、周りがみんな富裕層なのだ
だから貧困層の人なんか回りにいないし、いてもごく少数。
そんな人に入る貧困層の情報なんて皆無に等しいだろう。
そして、周りに殆どいないため「貧困層も殆どいない」ような
そんな気分になっているのだ。
上流階級、それこそ「違う世界に住んでる人」なのだ、貧困層からみたら。
圧倒的に「認識」できている数が違う。
貧困層と積極的に交流するようなタイプの人間ではないし
だったら貧困層と自分の差がどんなものか
そして自分が富裕層にいることが当たり前の状態なら
そりゃ 問題点も何も浮かばないだろうな、こりゃ。

皆保険っていうけど、日本だって皆保険じゃありませんよ。
国民健康保険の保険料が払えなくて医療が受けられない人
どのくらいいると思いますか?
それに目をつぶって「皆保険だ」とか、「日本の誇れる平等な医療制度だなんて
ちゃんちゃらおかしいんじゃないのかと思う

平等な医療とは
だれでもいつでもどこの病院でも医療を受けられる場合に言っていいことで
ベッド数が足りなかったり、医師不足で対応できなくて他の病院へ「お願いっ」と
搬送して 急変して
それで医師を責めるような日本の医療は
平等でもなんでもないと思います

そもそも
日本の医療費が高いのは
高度な医療をしているからである、とうちの院長が言っていた。
高度な医療をしているからこそ医療費がかかるのであって
高齢者がいるから医療費が高くなっているわけでもなく
ちょっとしたことですぐ医療を受けるからでもない、と。
私はそこで「あ、なるほど」と思いました
私は医療費がかさむのは
高齢者の方が無駄に受診するからだと思っていた。
でも、それは大きな間違いだった。
そしてさらに私は、高齢者が増える=医療費が増えるのは間違いで
高齢者だからといって病気になるとは限らないし
高齢者でも健康で生きる人だって沢山いる
というような反論を持っていました。

そういうことを言ったらビタ先生が

「お前薬学生だろ!?何あほなこと言ってんだ!
年取ったら病気になるに決まってるだろ!年寄り増えたら病院に行く人数も増えるから
高齢化社会になったら病院の利用が増えて医療費がかさむの当たり前だろう!
お前大丈夫か!?」

と言ったので、そういう単純な考え方にちょっとムッとした。
統計も見たこと無いのに、なにを現実見てない発言してるんだ。
科学者なのに視野が狭すぎです。

そんな時にうちの先生に同じような疑問をぶつけてみたら
こんな答えが返ってきた。

「たとえばさ、

じーちゃんやばーちゃんが血圧が高いとか言って病院に
100人受診するとするでしょ。

でも、その100人分の医療費を削っても

癌とか難病の治療を一人にした医療費の足元にも及ばないんだよ

日本の医療が高いのは、そういうことなんだよ

でもそれは削減するべき事だと思うか?

医療費がそういう理由で高いのは

もとむらは否定されるべき事だと思うか?」

と。

そう、高齢者の医療費なんて微々たるものなんです。
医療機関で働いている私は、それを聞いて納得しました。
だって、保険点数が画面に出てきてお会計を計算してくれる「レセプトコンピューター」を日々
いじっているのですが そこで出てくる点数が(1点=10円)
内科のごく初期的な治療が数十点から、多くても数百点なのに対して
高度医療に関しては、何とか検査費やうんたら治療がうん十万点とか、
薬が一錠数万点とか、そういうレベルなのです。

でもこれが高度医療というもの。

でも、この高度医療をけずってまで医療費を削減する理由は
国益のためにも、日本の医学のプライドとしても許せないと思う。
でも、かといってそれを増える高齢者の人口のせいにして
高齢者の医療は切り捨てていいことなのか?

それはおかしい。高齢者をなんだと思っているんだ。
同じように、既に切り捨てられてしまった「医療」がある。
障害者だ。
障害者支援医療が廃止になり
自立支援法という新しい法律ができた。
働けない、動けない。
そんな患者に
「自立しましょう!働きましょう! 医療費を支払うために働く事で
自立を促すのです」 という理由で医療費の負担額を増やしましたよね。
大体ね、そういう医療受けてる人達は
働けないんだっつうの。
動けないんんだっつうの。
これ作ったK首相は
そういう根本的な事知ってましたか?と言いたい。
それをムチ打って働かして
医療費削減できますか?
悪化してさらに長期的な医療が必要になる場合もありますし
根本的に働けないのに
無理させたあげくに「支援」なんて言葉つけられちゃ
たまりません。


医療費が多いことはむしろ
医療費がかかる国=高度医療が出来る国ということで
私達日本人は誇るべき事ではないだろうか。
高度な医療を施すことによって
もし 医療費が膨らむのなら
それを国民に負担させるのではなくて
もっと別のところから国が出すべきだろう。
もともと国の負担金って前も書いたけど
国民が負担している医療費の何分の一だと思ってるんだ
それでも足りないってどういうことよ。
(国民に負担させるまえに税金の無駄遣いを何とかしなさいよ)

「国民が健康になれば、国内の生産力が上がる。だからこそ医療費を無料にしているんだ」

とは、医療費の国民負担が0の、フランスとカナダの言い分です。
確かにそう思う。健康であることが、国力の源なのだ。
ただ生きればいいのか。それとも、「健康で生きる」ことが大切なのか。

そして医療費を削減して医療を受けさせないようにすること
それのどこが安心プランなんでしょうか
もっと根本的な考え方を変える必要があると思うのです
現場を知らない医師免許を持った人達が
あーだーこーだ意見したって始まらないのですよ
まして そういう現実をしらない医療富裕層のひとたちが集まって
これはいい、とかこの改革はうまくいくだとか
狭い視野だけで予測したって意味が全くないと思いませんか。
政治家や有識者会議に出るような人たちは
つくづく普通の視点を持っている人が必要だと思う。
国民の殆どが普通の人(だからこそ「普通」というのだろうけど 一般と言う意味で)
なのに、普通じゃない視点で論議されてもいつまでたっても現実にそぐわない。

医学部の定員増もしかり
ちまちま増やしたって何も変わりませんよ。
このブログを、政治家の人が見ている可能性はほぼ無いけれど
もっともっと、私達の現実を見てほしいです。
給料から何万円も医療保険料を支払っている私達
さらに高度な医療を受けて医療費の出費はかさみます。
それなのに、医療費の窓口負担は更に増えて
給料天引きの保険料も増額される
そんなのおかしい。
日本の政治は誰をみて動いているのだろう。
誰の為に日本の政治は動いているのだろう
国民のためと言うけれど
国民の本音を、政治家で熱心に聞いている人達
私は殆ど知りません。
パフォーマンスで年に一回とかやってる人や
気まぐれで一回とかやってる人なら知ってるけど。


なんだかそんなことを考えていました。
経済の専門家の北先生の意見も聞いてみたいなあ。
そしてこれから 病気じゃないけど医療を受ける
鈴先生にも聞いてみようかな
出産は病気じゃないから医療保険は利きません
(おめでとうは生まれてからね、鈴先生。)
でも受けなければいけない医療もある
そんな命を受け入れる側の観点からも

いろんな面から、この問題は深く、じっくり考える必要が
あるものだと思うんです。

医療と医学、薬学と
私はこの世界にきっと
一生を賭ける価値を見出しているのだと思う。

 

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