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ことばは矢のように、あなたのこころに突き刺さる。 あやふやで不安になることばも その傷が癒えることばも。
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精神科と心療内科と、いったいどこが違うのでしょうか
実は今年は医療法の改正があった年で
新たに標榜科名の前に、対象者を記載することが認められたのです。
この「標榜科」とは、内科とか、外科とか、厚生労働省が定めた診療科のことで
医師免許さえあれば、その中のどれでも看板に掲げてよいことになっています。
ただし、あくまでも厚生労働省が定めた診療科のうちから選ばなければなりません。
勝手に「ストレス科」とか、「頭痛科」などという看板をあげてはいけないのです。
これは、医療法として定められている「広告」にあたるものだからです。
病院の看板も、もちろん「広告」です。

標榜科名の前に対象者をつける、というのは「小児歯科」などのように、対象(専門とする)
患者さんの大まかなものをくっつけた標榜をしてよい、ということです。


今私の勤めているクリニックでは、この外看板をどうするかでちょっともめています。
私と院長の考えは、

「いつ無くなるかもわからない心療内科という、内科の看板はあえて掲げず、
思春期・児童と女性を対象としたクリニックであることを推し進めたい。
児童思春期精神科・女性精神科でいきたい」

というものです。

しかし、カウンセリング会社の社長(系列会社ね)は
「精神科だとイメージ悪くて客が来ない。心療内科というソフトなイメージを残し、
患者を増やすために心療内科は出し続けるべきだ」

というのです。

いるんですよね、こういう勘違いというか、偏見をお持ちでいらっしゃる方。
心療内科医は内科ですよ。内科医って書いてあるでしょ。

だけど、どうしてここまで出来上がっちゃったんでしょうか。
こころのことは、心療内科医、みたいなことが。

昔、いまほど神経症、ヒステリー(何度も言いますがキャーとかキーとかいう
やつじゃないからね)がメジャーな疾患ではなく、というより疾患だと認識されずに
ただの心の弱さだの気がふれただとか、そういった差別的に「気のせい」として
取り扱われていたころ
精神科のメジャーは精神病でした。今でも本気の精神科医は精神疾患を治したい
精神病を治したい、と思っているかもしれません。
精神病とは、統合失調症(昔の精神分裂病です。何を分裂させたか不明なネーミングだが)
や躁鬱病なので、見た目にも「この人の中で何かが起こっている」的なものを
感じさせる疾患を対象としていました。

今でいうPTSD、神経症、リストカッターはどうしていたかというと
神経症は必ず身体症状がでるので
内科に行っていたわけです
頭痛がする、お腹が痛くなる、食欲がない などなど
当然そういった人たちはとりあえず体の具合が悪いので内科に行きますよね
内科の先生はもちろん、どこか器質的に悪いのかと思い治療します
胃が悪いのかな?それとも頭に何かできているのかな?
でも何度調べても何も出てきません。
だけど症状は止まりません。お薬はどんどん増えていきます。
患者さんは診察で身の上話が主で症状について辛いという話をあまり
してくれません。
症状が出ているときだけ、器質的な変化が認められるのです。
それ以外は普通の人です。

とある内科の先生は、これが心の問題ではなかと思いはじめました
でも、当時の精神科は精神病圏の患者をみることがステータスで
神経症圏の患者を診る精神科医の先生は邪道だったのです。

これがいわゆる「心身症」のはじまり、心療内科の始まりだと思うのです。
心身症を治す。これが心療内科のターゲットなのです。
心身症とは心が原因で体に症状が出ることだといわれますが
ぜんそくや過敏性腸症候群などが「心身症」に相当するものです

そう、今の心療内科は
専門外の患者に追われているうちに
自分の専門さえも忘れて にわか精神科医としての
活動をせざるを得なくなった
そしてそのうち 自分たちこそが そういった疾患を見る科であるような
錯覚を起こしているのではないだろうか。

精神科医のやるべきことを、内科医がやる。
そしてだんだん詳しくなって、心療内科医と名乗る。
心療内科の研修なんて、ポリクリでなかったのに。
見よう見まねで大きくなってきたような、そんな印象があるのです。

だけど
こんなにも曖昧な科ってあるでしょうか。
心を治療する内科。心療内科。内科は外科手術をしない、
内蔵の病気を診る科。矛盾してます。
心は精神とイコールであるなら、精神内科はどうして無いのでしょうか。

それは日本人がこびりつけてきた「精神」という言葉のイメージが
悪すぎるからです。
精神論、という言葉もありますが、精神とは軍隊を連想させる
日本独自の根性文化に根付いているような気がするのです
それが精神というイメージ。
心が弱い。精神科行く人=心が弱い
精神科=おかしい人
そうじゃない。

完全にそうじゃない。
精神とはこころ。心をつかさどる脳の働き。
脳の動きや記憶に関係するもの。
人間には記憶がある。その記憶が体を無意識に支配することがある。
それこそが精神病以外の、精神科の真骨頂だと思うのだ。

心療内科は
けして心をみているわけではないと思うのです。



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