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ことばは矢のように、あなたのこころに突き刺さる。 あやふやで不安になることばも その傷が癒えることばも。
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今日朝資源ごみを出しに外に行ったら
あまりにも静かで、車も人も誰も外にいなくて
なんだか都会が廃墟みたいな感じでした。
きっとみんな、どこか遠くへ帰っているのかな。
都会は意外と地方出身の人が多いんですね。
そして実家に帰るということは核家族が多いっていうことです。

そんな静かな都会を、一人で歩いていると
なんだか不思議な気分になります。
あれー どうして私ここにいるんだろう?というような。
核家族という言葉があるのなら
私はたった一人、核だけで歩いているということか。


昨日は職場の大掃除とささやかな打ち上げ。
この一年間、私が大学と仕事の両立ができたのは
この素晴らしい職場のスタッフチームのおかげです。
本当に優秀に育ってくれたと思います。
入職したての頃は、患者さんの症状にビビったり引いたりしていた
彼女たちも、今ではどーんと構えて、ものすごいヒステリー性の疾患の
症状でも「かわいいよね~」なんて言えてしまう。
やっぱり月のべ700人も重症患者を相手にしているとそうなるものです。
いい意味で慣れる。
珍しくも何ともないので、奇異な目で見なくなるんですね。
患者さんの症状の背景や症状の出し方
訴えようとしているものを、医学的に見られるようになり、横のつながりを
考えることができるようになる。
神経症(ヒステリー性疾患)は、ひとりひとりは確かに違うけれど
やっぱり立派な病気なのです。
それはまさに「病気」と呼べるもの。そして患者さんと医師やスタッフの
「患者を含めた治療チーム」によって、治すことができること
それを確信しているのだと思います。

精神疾患のうちヒステリー性のもの(何度も言いますがわーとかキャーと
かいうようなヒステリーではない)は、本人の性格が悪いとか、本人のわがままだとか
そういう偏見がありますが、私は決してそうではないと思うのです。
原始的な症状の出し方しかできないかもしれませんが
そういった症状の出し方をするような背景が、本人の気質以外の要因で
必ずあると思うのです。
そしてこの病気は、本人と周りの努力によって治癒することができる。
不治の病ではないのです。
医師に任せっきりの他科の疾患とは一線を画すのが
私は精神科だと思うのです。

psychoという言葉の語源をご存知でしょうか
プシケーというその言葉は、精神とか蝶とか
そういった意味を持っている言葉です
それが今では、内科的疾患として心療内科という科が発達し
本来の意味を失われてしまった気がします
心の叫びは、体だけの問題ではないのです
薬だけで、治るものではありません
薬だけでは、石のように固まってしまった心を
蝶のように羽ばたかせることはできないのです。

私のいるクリニックは
もう一度本来の精神科に立ち返りたいと思っています
偏見や誤解にまみれた精神科に戻り
本当の意味で蝶のように美しい人間の心に触れたいと思っています
内臓から心の叫びを聞くことはできても
内臓から心の叫びに耳を澄まし
その心を取り上げて蝶として美しく羽ばたかせることはできないと思うのです。
だから私たちのクリニックは来年
心療内科をやめることにしました。
それに付いてきてくれる素晴らしいスタッフや医師に
巡り合えたことに、私はとても感謝しています。

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