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ことばは矢のように、あなたのこころに突き刺さる。 あやふやで不安になることばも その傷が癒えることばも。
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こんな夜中に
雨の音を無音の中で聞くのはいつぶりだろう。
そしてこんな夜はいつだって
手を離してしまった古池のことを思い出す。

バカみたいにこっちをいつか向いてくれると思っていた。
少し途切らせてみたい、と言われてから
その少しがどのくらいか知らずに
私は自分で何も努力もしないで
ただのほほんと 古池を待っているような
いや のほほんと待てていたらまだ良かったかもしれない
自分が生きることに精一杯で
本当はあなたを見失っていたのは私の方が先だったかもしれない。

久しぶりに「あなたを思い出した」とかかってきた電話。
もう二度とならない電話。
私の中であなたは死んでしまったことにすれば
つらくないと思ったけれど
それは大きな間違いだった。

生きているあなたに二度と会えないほうが辛い。

触れない私はあなたにとって存在しないのも同じ。
今はあなたに憎しみだけが残っているのかもしれない。
いや そうでもしてあなたの記憶に残っているならば
そのほうが幸せなのかもしれない。
私のことなど とうに忘れてしまっただろう。
いくつものやさしい日々も全て
きっと無くしてしまったんだろう。

私だけがいつまでも
雨の音が聞こえる度にあなたのことを思い出す。
条件反射のように私のスイッチが
雨の音で押されてしまう。

そして風になりたいと言ったあなたの望みどおりではなく

私の中であなたは

やさしい音色の雨粒になっています

今日もあなたの記憶が屋根を打ち付ける。
ぱらら ぱらら。

もう二度と
会えないんだね。

手を離したのは

どっちだったんだろう。



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